野球やサッカーなどのプロリーグから、オリンピックなどの国を挙げてのスポーツの祭典まで、日本でも多くのアスリートが活躍し、観戦や応援を趣味としている人も多くいます。一方海外では国民的スポーツの大一番の試合や、人気スポーツの重要な国際試合などは国を挙げて応援する文化があり、場合によっては仕事や会社を休み応援することもあります。
日本のスポーツ観戦や応援とくらべ、温度差やギャップを感じたことがある人もいるのではないでしょうか。これらをふまえて、日本と海外のスポーツ観戦や応援の文化の比較・特徴について解説します。
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スポーツの語源はラテン語の「遊び」という意味の「デポルターレ」です。語源からも、海外ではスポーツは本来「楽しいからやる」「楽しくないときはやらない」というシンプルで自由なものとして位置付けられています。
「スポーツは楽しいから続けられ、上達につながる」というサイクルこそが、スポーツを辞める人が少ない理由につながります。この考え方をふまえて、日本と海外でのスポーツに対する考え方や目的を比較していきます。
日本のスポーツの目的の多くは「勝つこと」です。スポーツは部活動として学校教育に取り入れられたため、試合や大会などで競争することで優劣を付ける傾向にあります。勝利至上主義でもあり、学校教育を行う先生がそのまま部活の指導をすることも多いため、教える側と教わる側に上下関係ができているのも日本のスポーツの特徴です。
部活をはじめ就学時にスポーツに打ち込むことが多い一方、高校卒業などスポーツを離れる機会があると燃え尽きてしまう人も多いです。そのため、日本では生涯を通じてスポーツへ意欲的に関わる人は少ない傾向にもあります。
海外のスポーツの目的は「楽しむこと」です。地域のスポーツクラブなど、学校の外で自分の好きなスポーツを通して運動そのものを楽しみます。メンバーの立場は平等で、教える側と教わる側に上下関係はありません。会社の上司と部下の関係でも、地域のスポーツクラブには会社での立場は持ち込まず、メンバーとして接します。海外では生涯にわたりスポーツを楽しむ人が多く、10代と40代の競技人口がさほど変わらないスポーツや国もあります。
日本と海外でスポーツ観戦や応援の姿勢に違いがある背景には、考え方のほか国民性などいくつもの要因が絡みあっています。日本と海外での仕事に対する考え方と、日常生活の優先順位の違いを比較し、解説します。
日本と海外の仕事に対する企業の考え方や仕事の責任性を比較しました。
【日本人】
日本では業務や企業にマッチする人材を採用し、その後空いている業務や職種へ人材を割り振ります。採用後に部署や勤務先、業務内容が変わることも珍しくないメンバーシップ型を取り入れています。個々の従業員の業務範囲が明確ではないため、仕事ができる人に仕事量が偏り不満が出やすいデメリットがあります。
公私ともに周りとの調和を大切にする日本人の国民性は、仕事にも表れています。仕事を滞りなく進めるために、自分の意見を慎み周りに合わせようとする人が多く見られます。そのため、多数派と違う意見や行動が出た場合、敏感に反応されやすい傾向にあります。
以上のことから、スポーツ観戦や応援においても「統率の取れた応援をする」「自分ひとりで勝手な行動はせずローカルルールやマナーを守る」などの傾向があります。
【海外】
全体との調和を重んじる日本人に対して、海外では個人の持つ専門性やポテンシャルを仕事に活かす「ジョブ型」の雇用形態が多くなっています。そのため、企業や仕事の求人には具体的な業務内容が記載され、採用後は記載された業務を担当します。
仕事を効率よく進めるために、社会的な秩序よりも個人の意見や能力が尊重されます。仕事に対して責任を持つのは会社ではなく一個人単位という考え方があるからです。従って効率よく仕事をするために各個人が工夫し、業務を遂行していきます。残業時間が長ければ長いほど企業に貢献していると考えられがちな日本とは異なります。
割り当てられた業務に対して、自分が持っている技術や専門性を発揮します。残業時間や年功序列で給料が決まる日本に対して、海外では業務での成果が給料に反映されます。
スポーツ観戦や応援においても、海外では日本のように応援団は存在しません。個人それぞれが選手やチームを応援します。応援しているチームでも失敗があれば容赦なく叱責をし、敵チームでもすばらしいプレイがあれば称賛するのも海外ならではの応援スタイルです。
日本人と海外の優先順位の置き方を比較しました。
【日本人】
企業や仕事への忠誠心が強く、和を重んじるため、仕事や会社を中心とする生活を送っている人も多いです。そのため仕事のためにプライベートを犠牲にする、有休が取得しづらい傾向にあります。自分が休むことで割り振られている業務に穴が開く、迷惑をかけたくないという気持ちや、自分より全体を優先する国民性も相まって、仕事や会社を優先する人が多いです。
スポーツに対する勝利至上主義、部活や大会のためにほかを犠牲にする、個人プレイよりもチームを考えたプレイをする、という考えにもつながっています。
【海外】
海外では家族を最優先とします。オンオフをしっかりと分け、権利として与えられた休暇は消化し、プライベートの時間を守ります。家族の犠牲を払ってまで仕事をしたいと思わない人がほとんどです。
スポーツに対する考え方でも、スポーツのチームやクラブに上下関係はない、業務上の関係ではなくチームメイトとして接する、といった特徴として表れています。
日本と海外の仕事や日常生活、スポーツへの考え方を比べると、日本の方が劣っていると感じる人も多いかもしれません。一方で日本人のスポーツの観戦マナーは海外から賞賛され、誇るべき一面もあります。日本の応援マナーとともに、昨今の新しい生活様式にのっとった新しい観戦スタイルを紹介します。
日本人の応援は、海外の人が関心を持ったり、賞賛したりするものも多いです。
各チームに応援団があり、統率の取れた応援や応援歌で選手一人ひとりを鼓舞します。プレイにミスがあってもヤジることは少なく、応援によって励まします。敵チームに対してもヤジるのはマナー違反とされています。
現地での応援だけでなく、観戦マナーの良さも海外から称賛されています。たとえば会場は汚さない、出したごみは持ち帰るなどです。日本人として海外に誇れる応援やマナーはたくさんあります。日本人として誇りを持ち、海外をふくめてたくさんの人にプラスの印象を持ってもらいたいですね。
近年多くの動画配信サービスが誕生し、スポーツも現地やテレビ観戦だけでなく、動画で好きなときに好きな試合を観戦できるようになりました。会場に足を運んで生の試合の空気を感じることももちろん貴重な経験ですが、動画配信サービスを利用することでスポーツ観戦をより身近に体験できます。「スポーツ観戦に興味があったけれども時間が合わずできなかった」という人は、動画配信サービスを利用して、興味のあるスポーツ観戦を楽しんでみてはいかがでしょうか。
日本と海外のスポーツへの考え方、応援、観戦の違いを比較しました。スポーツへの考え方が違うのは、根本にある目的のほかにも、国民性や日常生活での優先順位の違いも関係しています。日本だけでなく一人ひとりが各国の国民性やスポーツとの関わりなどを理解し、お互いに尊重することが重要です。ぜひスポーツと社会の関連を学んだり、スポーツに参加したりといったきっかけを持ち、さまざまな視点からスポーツ観戦を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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