小学生のときと比較し、中学生になると「英語」の本格的な学習が始まります。英語以外の主要4教科(国語、数学、理科、社会)の授業は日本語で説明して進んでいく一方、英語は英語のみを使って授業を進める学校もあるでしょう。
また英語は積み重ねで習得する言語学習のため、一度「わからない」「苦手」と感じてしまうとほかの教科よりも克服するのが難しい傾向にあります。
中学生から始まる英語をつまずきなくスムーズに習得するには、英語を習得するメカニズムや、英語の理解がスムーズになる勉強方法を身につけておくのがおすすめです。
本記事でこれらのポイントを解説していますので、中学校の英語の勉強方法にお困りの生徒さんや保護者の方は、ぜひ参考にしてください。
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私たちは生まれてから成長していく過程で、母語(第一言語)である日本語を自然と使えるようになっていきます。英語も日本語と同じ言語のため、習得していく順序があります。
ところが、母語である日本語と第二言語である英語は、言語習得における4技能の順序が異なる点に注意が必要です。母語(第一言語)である日本語の習得順序が「聞く」「話す」「読む」「書く」であるのに対して、第二言語である英語の習得順序は、「読む」「聞く」「書く」「話す」です。
英語は第二言語であることを踏まえて4技能の順序に沿って学習していけば、スムーズな英語の習得につながるでしょう。英語の習得の基本を、4技能の順序に沿って解説します。
母語、第二言語問わず言語を習得するうえで最初に行うのが「インプット」です。母語は耳から「聞く」ことでインプットするのに対して、第二言語は「読む」ことでインプットをします。
第二言語で「読む」が先に来る理由としては、英文をたくさん読むことで語彙力や文法力を鍛えられるからです。
はじめにある程度の語彙力や文法力を鍛えておくことで、単語や熟語、文の構造や働きを予測できるようになるため、「読む」の後に続く他の3技能の習得もスムーズに進められます。
母語は「聞く」(インプット)「話す」(アウトプット)「読む」(インプット)「書く」(アウトプット)と、4技能のインプットとアウトプットを繰り返すことで習得しています。
一方、第二言語はまず「読む」「聞く」(インプット)を取り入れ、徐々に「書く」「話す」(アウトプット)を取り入れていくことで、効率の良い習得につながります。第二言語を習得する上では、まずインプットを集中して行うことで自分の知識量を増やすことが重要です。
「読む」のあとに「聞く」ことで、「読む」で身に付けた語彙力や文法力の理解をより深めることができ、スムーズに知識をインプットできます。
第二言語の習得の流れに沿って、「読む」「聞く」の2技能でしっかりと英語の知識をインプットしてから、徐々にアウトプットをしていきます。最初にアウトプットの技能として行うのが「書く」です。「読む」「聞く」でインプットした英語の知識を、「書く」ことでアウトプットし、知識として定着させます。
「話す」よりも「書く」が先に来ている理由は、英語の口語的表現(話し言葉)よりも先に文語的表現(書き言葉)を覚える必要があるためです。ビジネスシーンでのメールや学校のレポート、論文などを書くときには、丁寧な言い回しである文語的表現が求められます。ところが、先にスラングやカジュアルな表現である口語的表現を覚えてしまうと、文語的表現が必要なシーンで適切な英語が書けないことになります。一方会話で文語的表現を使うのは多少堅苦しくはなりますが、意味は通じるため、口語的表現よりも文語的表現の方が覚える優先順位は高くなります。
第二言語のスムーズな習得で、4技能で最後に行うのが「話す」です。「話す」を最後に行う理由は、前述通り口語的表現よりも文語的表現を覚えることを優先させるためです。
母語の習得では「聞く」「話す」の順番となりますが、これは耳から入った言葉の中で発音しやすいものから徐々に口に出していくことで習得するためです。一方、第二言語の習得ではインプットおよび文語的表現を優先させる理由から、「話す」は最後に習得する4技能となります。
英語を勉強する上で、様々な場面で疑問を持ったり壁に当たったと感じたりすることはないでしょうか。各場面によって、おさえるポイントの着眼点が少しずつ違います。ここでは、各場面ごとにおすすめの勉強法を紹介します。
ノートは授業中の先生の板書を写すためにも使用しますが、ただ板書をきれいに写すことのみに集中するのはNGです。英語におけるノートは自分専用の参考書であり、自学学習に活用できるツールでもあります。
手や口の筋肉を動かすことが、記憶の強化につながるという脳科学の研究もあります。ノートを自筆で工夫して取ることはとても重要です。英語のノートを取るときのポイントを踏まえて、英語学習に役立つノートを完成させましょう。
英語のノートを 取るときの準備のポイント
学校でのノートの取りかたのポイント
予習時の英語のノートのポイント
中学校の英語を学校の授業だけで理解するのは難しいです。中学校の英語の理解をスムーズにするために必要なのが、予習です。予習をすることで、授業の前に内容が把握できるため、学校の授業もスムーズに理解できます。なお中学校の英語の勉強は、予習だけでなく復習や宿題も重要です。予習が苦痛にならないように、習慣付けしやすい少ない時間で進めるようにしましょう。
予習の方法
英単語は英語習得における全ての基礎となります。覚える英単語は多ければ多いほどいいですが、「英単語をなかなか覚えられない」と悩む中学生も多いです。効率よく英単語を習得できる方法やポイントを紹介します。
ドイツの心理学者のヘルマン・エビングハウスが「人の記憶がどれくらいの時間維持できるか」を示したのが「エビングハウスの忘却曲線」です。これによると、暗記したことは1時間半後には半分以上を忘れてしまいます。
ただし、暗記したあとに定期的に復習することで、記憶が復活することを表しています。英単語は反復がもっとも記憶として定着しやすいため、少しずつ何度も反復して覚えるのがもっとも効率の良い方法です。
なお、ひたすら単語をノートに書き出して英単語を暗記する方法は、書き出した量や時間をかけたのみで勉強した気になりやすいため、おすすめはしません。
先に紹介した4技能の中でも、特に習得に時間がかかるのはリスニング。『高校入試における』リスニングの配点比率も高くなりつつあり、関東圏の入試では2~3割の配点を占めます。ところが、英語に耳が慣れるまで聞き取れないことも多いです。
リスニングに強くなるには、語彙力、リスニングの速度と解釈のスピードアップが必須です。できるだけ早い段階からリスニングの効果的な勉強方法を取り入れ、リスニングに強くなりましょう。
長文読解は定期テストや受験で配点の高い設問です。長文読解が苦手になると、テストや受験で高得点を狙えなくなるリスクが出てきます。繰り返し取り組むことを前提として、有効な勉強方法や対策方法をご紹介します。
①日本語訳せずに読めるようにする
②問題を解くことを意識して
テスト前は不安になってしまいがちです。定期テストの英語で得点するためには、復習を重点に置くことと、睡眠をしっかりとることがポイントとなります。
テスト前の勉強のポイント
特に睡眠時間を削って暗記をしようとしても、うまく定着しません。記憶の定着には睡眠時間をしっかり取った方が効果的と言われています。
これまで解説した通り、英語には苦手になりやすいポイントがたくさんあります。英語は積み重ねで習得していくため、基礎で一度つまずくとずっと苦手意識を持ったままとなってしまいます。英語が苦手、英語がまったくわからないけれども「どこがわからないのか、何から始めればいいのかも全くわからない」とお手上げ状態の場合もあるでしょう。英語が全くできないときの、おすすめの対策方法を順に解説します。
①全ての基礎、単語を覚えてみるところから始める(音声も覚えるために見る、書くだけでなくかならず音読する、単語帳を使う)
②教科書を覚えてしまうほど音読を繰り返してみる
③基本の語順を覚える(教科書の基本文で覚える)
また、すでに英語に苦手意識を持ってしまっている場合は、自分の好きなものから英文に触れる機会を作ることも効果的です。マンガ、ゲーム、知っているアニメや映画の英語版などから英語に触れる機会を持ってみましょう。
英語は中学から内容が難しくなることに加えて、慣れていない、言語学習のためすべての単元がつながっているなどの要因から難しいと感じる生徒さんも多いです。英語の苦手意識を克服するには、英語の何が苦手かを踏まえて、効果的な勉強方法を試してみましょう。おすすめの勉強法の中から自分なりの勉強法を見つけて、試すことも有効です。英語が苦手にならずに、楽しく勉強を進められるように工夫をしてみましょう!
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