ロード熊さん

英語教育改革

「新学習指導要領」について

今、世の中は驚くほどの速さで変化しています。

社会が変われば、必要とされる教育も変わります。

改訂された「新学習指導要領」について解説します。

 

1.「新学習指導要領」

2.資質・能力の3つの柱

3.何を学ぶか?

4.新学習指導要領 英語 小学校

5.新学習指導要領 英語 中学校

6.新学習指導要領 英語 高校

7.まとめ

 

1.「新学習指導要領」

2020年度に小学校で、2021年度に中学校で「新学習指導要領」が全面的に実施されました。そして、2022年度に入学する生徒から高校でも「新学習指導要領」が実施されます。

 

学習指導要領とは、文部科学省が定める教育課程の基準(カリキュラム)のことです。社会のニーズや時代の変化に沿って、約10年毎に改訂されています。

 

2008年(小中学校)、2009年(高校)に公示された前回の学習指導要領の改訂の一番の目的は「ゆとり教育」からの脱却でした。「生きる力」の育成を目指して、「知識・技術の習得」と「思考力・判断力・表現力の育成」のバランスが重視され、入試問題で「思考力・判断力・表現力」を問う問題が出題されるようになり、授業数の増加や小学校での外国語活動の導入などの変化がありました。

では、今回の学習指導要領の目的は何でしょうか。

 

政府広報オンラインには次のようにあります。

『近年、グローバル化や、スマートフォンの普及、ビッグデータや人工知能(AI)の活用などによる技術革新が進んでいます。10年前では考えられなかったような激しい変化が起きており、今後も、社会の変化はさらに進むでしょう。

海外の専門家の中には、「今後10~20年程度で、半数近くの仕事が自動化される可能性が高い」、「2011年度にアメリカの小学校に入学した子供たちの65%は、大学卒業時に彼らが小学生の頃には存在していなかった職業に就くだろう」などと述べる人もいます。進化した人工知能(AI)が様々な判断を行ったり、身近な物の働きがインターネット経由で最適化されたりする時代が到来し、社会や生活を大きく変えていくとの予測がされています。

このように社会の変化が激しく、未来の予測が困難な時代の中で、子供たちには、変化を前向きに受け止め、社会や人生を、人間ならではの感性を働かせてより豊かなものにしていくことが期待されています。

子供たちが学校で学ぶことは、社会と切り離されたものではありません。社会の変化を見据えて、子供たちがこれから生きていくために必要な資質・能力を踏まえて学習指導要領を改訂しています。』

 

今回、学習指導要領は予測困難な時代にあっても、社会の変化に対応し、「生きる力」を持った子どもたちを育てることを目的に改訂されました。

 

「新学習指導要領」では、「子どもたちが、何ができるようになるか」に主眼が置かれ、「育む資質・能力」が3つの柱で構成されています。それは、「①知識及び技能」「②思考力・判断力・表現力等」「③学びに向かう力・人間性等」の3つです。

 

2.資質・能力の3つの柱

● 知識・技能

「生きる力」に必要な資質や能力は、「何を理解しているか、何ができるか」という知識や技術の質や量に支えられています。そもそも知識や技能がなければ、考えることも、判断することも、表現することもできませんし、もっと学びたいと思うことも、人間性を高めることもできません。また一方で、社会や生活の中で、学ぶことへの興味を高めたり、思考力や判断力、表現力を育てる学習活動なしでは、子どもたちが、さらに新しい知識や技術を身に付けようとしたり、知識や技能を確かなものとして定着させていくことは難しいことです。

このように「知識・技術」と他の2つの柱はお互いを育てるために関係し合っています。

例えば、英語の単語や歴史の年号を覚えることや、数学の計算問題が解けるようになることは大切です。しかし、そこで終わりではなく、「生きる力」として、社会や生活での中で活かせることが重要となります。

● 思考力・判断力・表現力

思考力・判断力・表現力等では、子どもたちが「理解していることやできること(知識や技能)をどう使うか」ということが重要となります。これからの予測が困難な社会では、未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力」などが「生きる力」として必要です。身に付けた「知識・技能」を活用し、問題を発見する力・論理的に考える力・問題を解決するために判断する力・自分の考えを表現し伝える力などを育てることを目的としています。

例えば、国語の授業で説明文を読んで、著者が何を言いたいのかを読み取ることだけではなく、情報を整理して自分なりに考え、それを書いてまとめたり、理科の授業で問題意識をもって観察や実験を行い、結果を分析してレポートを作成し発表することなどの学習活動が行われます。

● 学びに向かう力・人間性等

学びに向かう力・人間性等とは、「どのように社会・世界と関わり、より良い人生を送るか」につながる力です。

子どもたち一人ひとりがよりよい社会や幸福な人生を切り拓いていくためには、自分から積極的に学習に取り組む姿勢や、自分の気持ちや行動をコントロールする力、よりよい生活や人間関係を作ろうとする姿勢などが必要です。また、多様性を尊重する態度や互いの良さを活かして協働する力、持続可能な社会づくりに向けた考え、リーダーシップやチームワーク、感性、優しさや思いやりなどの人間性なども「生きる力」として幅広く含まれます。

例えば、国語の授業で、言葉が持つよさに気付き、たくさん読書をすることで、言葉を大切にして、思いや考えを伝え合おうとする姿勢を育てたり、協働して音楽を楽しく演奏をし、身の回りの様々な音楽に親しみ、音楽の経験を活かして生活を楽しく明るいものにしようとする態度を育てる学習活動が行われます。

 

次に、「新学習指導要領」によって導入された内容を見ていきましょう。

 

3.何を学ぶか?

グローバル化に対応して、これまで小学校5、6年生を対象に行なわれてきた外国語教育が3・4年生にも拡大しました。3、4年生から「外国語活動」が開始され、5、6年生では「外国語」が教科として導入されました。小学校・中学校・高校で一貫した学びが重要視され、さらに、4技能5領域(「聞くこと」・「話すこと(やり取り)」「話すこと(発表)」「読むこと」「書くこと」)で学習目標が示され、コミュニケーションを図る資質・能力の育成に力が入れられます。

またデジタル社会への対応として、小学校で「プログラミング教育」が必修化されました。

中学校では、すでに2012年から技術・家庭科で行なわれている「情報に関する技術」の内容が拡充され、高校では、情報科が情報ⅠとⅡとなり、新設の情報Ⅰで必修として、プログラミング、ネットワーク、データベースの基礎を学ぶようになります。

さらに、高校の「総合的な学習の時間」は、2022年度から「総合的な探究の時間」に変更されます。「総合的な探究の時間」では、生徒が主体的に課題を設定し、情報の収集や整理・分析をしてまとめるといった能力の育成を目的とし、教科や科目等の枠を超えた課題に取り組むようになります。

この他にも、小学校では道徳が「特別な教科(成績はつかないが正式な教科)」となりました。また、2016年に選挙権年齢が18歳に引き下げられましたが、2022年度からは成年年齢も18歳に引き下げられることを受け、高校では、一人ひとりが主権者意識を持ち、社会の中で自立し、他者と連携・協働して社会に参画していく力を育むための主権者教育や、契約の重要性や消費者の権利と責任などについて学習する消費者教育が導入されます。

今回の学習指導要領の改訂で、小学校・中学校・高校で一貫した教育が重要視されましたが、その中で、特に大きく変化があったのが英語です。

各段階を通じて「聞くこと」「話すこと(やり取り)」「話すこと(発表)」「読むこと」「書くこと」の4技能5領域(小学校3・4年では2技能3領域)をよりバランスよく育成し、実際のコミュニケーションに取り組む力が重視されました。

では、小学校・中学校・高校の英語について細かく見ていきましょう。

 

4.新学習指導要領 英語 小学校

「新学習指導要領」では、3、4年生では、「聞くこと」「話すこと(やり取り)」「話すこと(発表)」を中心に英語に慣れ親しみ、その後の英語学習に抵抗なく進むための素地を養うことが目標とされています。授業時間は年間35時間です。

5、6年生では、「聞くこと」「話すこと(やり取り)」「話すこと(発表)」の学習内容を深めるとともに、「読むこと」「書くこと」の学習が加わります。課題となってきた小学校と中学校の授業のギャップ(中学で急に読み・書き中心の授業に変わる)をなくすために、アルファベット学習や英語の文構造の把握といった「書くこと」「読むこと」を含め、年間70時間の授業が行われています。そして、小学校では600語~700語程度の語彙を学習します。

「新学習指導要領 英語 小学校」の詳細はこちらからご覧いただけます。

 

5.新学習指導要領 英語 中学校

これまで「聞くこと」「話すこと」「読むこと」「書くこと」の4 技能4 領域だったものが、「聞くこと」「話すこと(やり取り)」「話すこと(発表)」「読むこと」「書くこと」の4技能5領域となりました。中学校卒業までに学習する語彙は、今までの1200語から、小学校で学習した語に1600語~1800語程度を加えた2200語~2500語となりました。文法事項は、「主語+動詞+目的語+原形不定詞」、「現在完了進行形」、「仮定法」など、今まで高校で学習していた内容が追加されました。実際に英語を活用できる力を育てるために、語彙や文法事項を具体的に使う場面と関連付けた学習が行われています。

「新学習指導要領 英語 中学校」の詳細はこちらからご覧いただけます。

 

6.新学習指導要領 英語 高校

2022年度に高校に入学する生徒から導入される「新学習指導要領」では、これまでの「コミュニケーション英語」「英語表現」「英語会話」の3つの科目が、「英語コミュニケーション」と「論理・表現」の2つの科目になります。

「英語コミュニケーション」では、目的や場面、状況などに応じて適切に活用できる英語の技能を養うことを目標としています。また、学習する語彙は最大2500語で、現在の「コミュニケーション英語」で習得する語彙の1800語よりも増えます。

「論理・表現」では、「話すこと(やり取り)」「話すこと(発表)」「書くこと」といった英語のアウトプットを強化することを目標とし、スピーチやプレゼンテーション、ディスカッション、ディベートなどを通じて英語の発信力の強化を目指します。

 

7.まとめ

2020年度に小学校で、2021年度に中学校で全面実施され、2022年度に入学する生徒から高校でも実施される「新学習指導要領」では、変化が激しく予測困難な社会で育つ子どもたちが、身につけた知識や技能を活用しながら学びを深め、「生きる力」を身に付けるための教育が打ち出されました。「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」を3つの柱とし、学習内容の改訂が行われました。

「新学習指導要領」の導入を機に、課題の多かった日本の英語教育に本格的なメスが入りました。小学校、中学校、高校で一貫してコミュニケーション能力育成が本格的に行われるようになります。ますます進むグローバル社会の中で、「生きる力」の重要な要素となる英語力を身に付けるための改革が進んでいます。

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